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クリーン・ハリー【くりーん・はりー】

父親たちの星条旗先日NHK-Hivisionで2夜連続放映されていたクリント・イーストウッド監督の「硫黄島」モノをようやく見ることが出来た。「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」である。どちらから見るべきか迷った挙句、やはり心情的に近いと思えた「日本側」から見ることにしたが、2本見終わった後でどちら側から見ても同じだったことが分かった。

画像元:yahoo映画「父親たちの星条旗」
クリント・イーストウッドといえば私の年代であれば、俳優時代の出世作で大ヒットした「ダーティー・ハリー」シリーズの偏執狂的正義感の持ち主が強烈なイメージがあるが、壮年期になってからは製作者としての活躍の方が目立つ。かつて社会正義を前面に押し出していた演技者が、監督になったとき、「国家にとっての正義の不毛さ」や「決して同期しない国家と個人の正義」の悲劇を描くのはちょっと皮肉めいて面白かった(^^;)

硫黄島からの手紙しかしそのタッチは生真面目なもので、日本側の視点を見事に描いていて感心した。いかに資料が残っていたとしてもその時代の空気感は中々出すのは難しいはずである。しかも敵対していた日本側の兵士の内面などきちんと丹念に描かれている。

なかなかやるじゃんハリー(^^;)

画像元:yahoo映画「硫黄島からの手紙」

老いらくの恋や、西部劇の真実などを描き、ただの映画馬鹿では無かったことは知っていたつもりだったが<失礼(^^;)
ここまでちゃんと「真実の戦争」が描ける人とは思っていなかった。
国家に利用され翻弄される名も無き兵士はまさに人柱と同じ。「英雄」と呼ばれた「国旗掲揚の6人の米兵」に、ふとこれが日本兵なら少なくとも戦死した3人は靖国で神様だな・・・と思い当たった。
結局は「概念としての英雄視」「神格化」だけが兵士に与えられるという点で、硫黄島で散った若い命は敵味方の区別無く同じであった。その栄誉も。不遇さまでも。

映画のシーンの中で特に圧巻に思ったのは、米軍の上陸作戦時にちらほら出てくる、海を埋め尽くすほどの大艦隊であった。もちろん実写ではなくCG合成されたものだろうが、あの圧倒的な存在感は「さりげなく自然に映し出された分」ものすごい重圧と感じたのだ。あれを摺鉢山のトーチカの狭い窓から見たときの日本軍兵士の緊張感・絶望感はいかばかりだったろう。アメリカ側の視点で描かれた「父親たちの星条旗」に登場するこの大艦隊の背景画は星条旗を掲げようと摺鉢山を登ったときにより顕著に描かれた。比較的穏やかなシーンの背景に鎮座する「巨大な暴力装置」の存在は、第二次世界大戦当時の野蛮な時代だけのものではない。いや、太古から今に続く、何も変わらぬ「武力を背景とした一時的な平和」をも暗示しているようで空恐ろしく思えたのである。


背景の大艦隊

そして勝利する米軍の失ったものの痛みと、敗れた日本軍の対峙した痛みは皮肉にも似て見えた。

戦争に勝つため、金融商品並みに扱われ「デッチ上げられた英雄」をそれでも必要としている軍と政府の首脳。より現場に近いものにはその「かけ離れた世界」は苦痛以外の何者ではなかっただろう。
苦痛は日本側の栗林中将も同じだ。あえて非情に作戦行動を命令、撤退も降伏も出来ず、(楽に死ねる)玉砕・無駄死にを禁止し、わずかでも日本本土への攻撃を遅らせることを最優先にしなければならない苦痛。

降伏した日本兵を自分の都合で射殺してしまう米兵。軍規を楯に数少ない味方でさえ殺そうとする日本軍士官。あるいは玉砕という名の自殺の強要。
それぞれの指揮官の苦悩と、現場の兵士の苦痛、全てが逆境といっていいほどの過酷な環境での戦争。
全ての「意思」にはそれぞれの正義と良心がありながら、殺しあわねばならない不条理。

厭戦・反戦をそれられしく叫ぶよりこの二本の映画でかくも立体的に浮かび上がる「地獄の消耗戦」の様相は期待していた以上の感慨を与えてくれた。戦争の深い闇まさに「ダーティー」な部分をさらけ出してくれたイーストウッド監督。

もう彼は「ダーティー・ハリー」(薄汚れたハリー)でなく、静かに「正義と良心」の炎を燃やし続ける姿は「クリーン・ハリー」(清廉なハリー)の尊称を贈りたいと思った私だった。

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