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帝国の功罪(4)【ていこくのこうざい(よん)】

国民病「脚気」と「結核」

音で聞くと何やら「しりとり」のようにも聞こえるこの病気。現代ではとっくに根絶された病気のようにも思えるが「ジャンクフードの蔓延」「耐性菌の登場」で未だに患者は居るらしい。

明治時代になって劇的に変わったことと言えば医療もその一つにあげられる。古来日本では漢方医が中心に医療行為を行っていたが、江戸時代中期には蘭学という西洋医学の影響を受け始め、明治維新を待たずして文明の光を浴びていたとも言えるだろう。

江戸時代〜明治時代に特徴的な疾病といえば「脚気」がある。栄養学が未発達だった為、原因が特定できず、西洋医学が入ってきた明治期にもその原因は特定できずにいた。単純に言えばビタミンB1欠乏症でしか無いのだが、経験則として「蕎麦」「麦飯」が効果がある程度にしか理解されず。文明開化(機械化)による恩恵で精米技術・速度が向上して一般庶民でも白米が普通に食べられるようになるとともに、全国的に蔓延した。

脚気1
<画像元:アリナミン〜元気の雑学>

古くは平安時代から上層階級などを中心に発生し、江戸時代は江戸の白米食の普及とともに町人にも流行したが、玄米食が中心の地方では発病することが少なく「江戸患い」と呼ばれた。

日本の脚気史:wiki

明治期
明治期には、1870年(明治3年)とその翌年から脚気がはやった。東京など都市部、陸軍の鎮台所在地、港町で流行し、上層階級よりも中・下層階級に多発し、死亡率が高かった。『人口動態統計』(1899年(明治32年)開始)、『死因統計』(1906年(明治39年)開始)によれば、明治末期までの国民の脚気死亡者数は、最小6,500人(1900年(明治33年))〜最大15,085人(1909年(明治42年))であった。ただし当時は、乳児脚気の知識があまりなかったため、「乳児脚気死亡」が大幅に見落とされており、毎年1万人〜3万人が死亡していたと推測されている。

大正期以降
大正期以降、ビタミンB1(チアミン)をふくまない精米された白米が普及するとともに安価な移入米が増加し、副食を十分にとらなかったため、脚気の原因が解明された後もビタミンB1の純粋単離に成功した後も、多くの患者と死亡者をだし、「脚気」は「結核」とならぶ二大国民病といわれた。ちなみに統計上の脚気死亡者数は、1923年(大正12年)の26,796人がピークであり、1915年(大正4年)から日中戦争の拡大と移入米の減少によって食糧事情が悪化する1938年(昭和13年)まで年間1万人〜2万人で推移した(翌1939年12月1日、「白米」禁止と7分つき米の強制)。ようやく1千人を下まわったのは、アリナミンとその類似品が社会に浸透する1950年代後半のことであった(1950年(昭和25年)3,968人、1955年(昭和30年)1,126人、1960年(昭和35年)350人、1965年(昭和40年)92人)。しかし、1975年(昭和50年)頃からジャンクフードの普及により、脚気が再発してきた。アルコール依存症患者にも多く、高齢社会(超高齢社会)をむかえた今日では、ビタミンB1を含まない高カロリー輸液での発症も問題視されている。

wikiにもあるように当時は脚気の原因がわかっておらず、色んな病原説が出現したものの西洋医学に傾倒していた明治初期の医学会は伝染病説を有力視し、見当外れな研究をしていた。そのため重要なヒントを提示していた一部の医師たちの主張は無視され、せっかく海軍の練習艦「筑波」で行われた脚気予防試験で予防食としての新兵食(洋食)が成果を上げたにも関わらず、その後の脚気の蔓延を呼ぶことになる。

真田山陸軍墓地(5)@大阪:Para Bellum
※管理人注:当該ブログサイトが「引用禁止」とのことなので、引用文を省略しました。詳細はリンク先でご確認ください。

近代史研究をテーマにブログを書いておられる奇特な方がいた(^^;) wikiでも記述のある陸軍と海軍の脚気に対する考え方の違いがあり、極めて官僚的な対応(結果が出ている対策を取らず建前を押し通す)に終始したため甚大な犠牲者を出すことになる。

元気の雑学:アリナミン
明治時代になるとますます精白米の利用が盛んになり、脚気は国民病とまでいわれるようになりました。軍隊の間でも脚気は深刻な問題でした。過剰な白米の摂取とタンパク質不足が脚気の原因と考えた海軍の軍医、高木兼寛(かねひろ)は、パンと肉を中心とした洋食に切り替え、脚気を激減させました。しかし、白米主義に徹していた陸軍は、日露戦争下での脚気による死者が戦死者の半数を超えるという大打撃を受けました。もし、海軍が白米主義を通していたら、日本は日露戦争を勝利に導けなかったかもしれません。
脚気2

日清戦争
<画像元:日清戦争−wiki>

日清・日露戦争と脚気:内田正夫 所員/総合文化研究所助手(PDF)
和光大学総合文化研究所年報『東西南北』2007


日清・日露戦争における脚気被害
日清戦争(1894〜5)における脚気被害は、陸軍省医務局の公式記録『明治二十七八年役陸軍衛生事蹟』(1907)でさえ、「我軍ノ脚気患数ハ総計4万1431名...全入院患者ノ約4分ノ1」を占め、「銃砲創1ニ付キ実ニ11.23」、戦死者977人に対して脚気による死亡者は4064人、「古今東西ノ戦役記録中殆ト其ノ類例ヲ見サル」と書かざるをえない惨状であった(数字は算用数字に改めた)。
(中略)
動員総数約20万の日清戦争において、(公式に認定された者だけで)兵員の約2割が脚気患者だったのである(戦死傷者数、戦病者数などの統計数値は史料によって少しずつ異なる。また、上記の数には日清戦争に続いた台湾征討戦争も含まれる。)

日清戦争からちょうど10年後の日露戦争は、当初の日本政府の目論見に反して、世界史上はじめての大規模な戦争になった。戦闘の規模、期間、死傷者数は日清戦争の数倍、そして脚気の惨禍もまた数倍の規模で繰り返された。
これも史料によって数値は異なる(というのは、陸軍省医務局の公式記録である『明治三十七八年戦役陸軍衛生史』(1924)では、脚気の統計すべてが、「軍事上ノ関係ニ因リ」という理由によって比例値で表され、実数が分からないからである)。そうではあるが、多くの論著が依拠する史料(『医海時報』1908年10月)によるならば、全傷病者35万2700余人中、脚気患者は内輪にみて21万1600余人、他病に算入されているとみられるものを含めて推定すれば少なくとも25万人に達する。戦病死者3万7200余人中脚気による死亡者2万7800余人(約75%)であった。死亡者が2万7800人ということは、通常の致死率から逆算すれば患者数は30万人を超えていたとみてよいだろう。日露戦争の参戦総兵員約108万8000人、屍の山を築いたといわれる旅順戦などを含めて戦闘による死者総数約4万6400人という数字と比較するとき、脚気の犠牲がいかに大きなものであったかがわかる。


日露戦争
<画像元:日露戦争−wiki>

当時の陸軍の軍医には後に作家となる森林太郎(鴎外)がいた。伝染病説支持者であった彼の意見奏上により上司である石黒忠悳(日露戦争時は小池正直)が白米主義を貫き陸軍は甚大な被害をうけることになるが、彼は「脚気研究者」ではなく単純に栄養学上及び兵站運用の都合上、大量の麦の確保が困難であったため麦飯食を取り入れることに反対していたという話もある。いずれにしても彼が軍籍にあった時期は未だその原因が究明されていないことを考えると、彼一人に批判の矛先を向けるのもどうかとは思うが、陸軍全体の「建前重視・融通の利かなさ」はこの辺りからも見て取れる。

ところが意外なことにヨーロッパで伝染病説を覆す研究結果がでてくると日本国内でもあっさりと新しい学説に飛びつく研究者が続出(^^;)大正10年(1921年)にビタミン欠乏説がほぼ確定すると脚気病研究会などにより薬効成分としてのビタミンB製剤の開発がスタートする。

現代ほど成分抽出の技術が進んでいないことも有り、当時は薬剤としてのビタミンは高価であったり発病後の摂取にも難点があるなど国民病の早期の克服には至らなかった。
戦争の時代を経て、昭和29年(1954年)の武田薬品工業の「アリナミン錠」の発売に至るまで日本人は脚気に苦しめられることになる。

漢方や臨床実験の有効性から「理屈はともかく実効性を求める」方策が最優先で取られていたなら、また、漢方の「医食同源」思想が西洋医学に対しもっと理解されていたら少なくとも「脚気」による死者は相当数減らせたはずである。

丸山ワクチン:wiki
1944年に皮膚結核の治療薬として誕生した医薬品。タンパク質を除去したヒト型結核菌青山B株から抽出したリポアラビノマンナンおよびその他のリポ多糖 (LPS) を主成分とする。
がんに対して予防・治療効果があると支持者によって主張されているが、薬効の証明の目処は立っておらず、2013年現在がんに対する医薬品としては未承認である。

丸山ワクチン・オフィシャルサイト
1964年の暮れ、丸山は実際のガン治療にワクチンを用いることを決意し、知り合いの医師にワクチンを使ってみてくれるように依頼しました。そのうちに、あちこちの医師から「ガンの縮小がみられる」などの報告が届くようになります。なによりも驚いたのは、ワクチンを打った末期ガンの患者さんの中に、ガンと共存して何年も元気に暮らす人が現れるようになったことです。


効果があると言われても中々ガン治療の主流にならなかった丸山ワクチン。それは治療・治癒というよりも「延命効果」「ガン増殖抑制による共存」「副作用がない」という改善療法的な効能が西洋医学的でない面で西洋医学的検証方法では証明できない部分があるようにも感じる。

なにやら「脚気」治療の臨床データからの治療法と丸山ワクチンに、似たものを感じてしまう私なのだ。


その丸山ワクチンは皮肉というか歴史の偶然というか「皮膚結核」の治療薬として誕生した。国民病と言われた「結核」の一種である。結核の治療は抗生物質ストレプトマイシンの登場(昭和23年:1943年)を待つまで特効薬はなく、「死病」と言われ多くの歴史上の著名人の命を奪った。

いずれにしても「脚気」「結核」共に明治時代から昭和前半、大日本帝国の時代は国民を苦しめ続けた病気であったが、我々は未だ駆逐できていないのである。

<関連記事>
●第一期
帝国の功罪(1)【ていこくのこうざい(いち)】大日本帝国の成立と発展
帝国の功罪(2)【ていこくのこうざい(に)】明治維新初期の産業と貿易
帝国の功罪(3)【ていこくのこうざい(さん)】江戸〜明治時代の教育レベル
帝国の功罪(4)【ていこくのこうざい(よん)】国民病「脚気」と「結核」
帝国の功罪(5)【ていこくのこうざい(ご)】北海道の光と影〜先住民族アイヌ
帝国の功罪(6)【ていこくのこうざい(ろく)】北海道開拓使の時代
帝国の功罪(7)【ていこくのこうざい(なな)】沖縄県民の歴史と感情
帝国の功罪(8)【ていこくのこうざい(はち)】廃仏毀釈と士族の冷遇
帝国の功罪(9)【ていこくのこうざい(きゅう)】売春婦と人身売買
帝国の功罪(10)【ていこくのこうざい(じゅう)】職業売春婦と慰安婦
帝国の功罪(11)【ていこくのこうざい(じゅういち)】日本軍の慰安所と慰安婦

●第二期
帝国の功罪(12)【ていこくのこうざい(じゅうに)】明治維新以前のアジア情勢と日本の安全保障
帝国の功罪(13)【ていこくのこうざい(じゅうさん)】明治維新の黒幕たち
帝国の功罪(14)【ていこくのこうざい(じゅうよん)】明治新政府の統治能力と藩閥
帝国の功罪(15)【ていこくのこうざい(じゅうご)】大日本帝国憲法と帝国議会の構成
帝国の功罪(16)【ていこくのこうざい(じゅうろく)】大日本帝国憲法の本性
帝国の功罪(17)【ていこくのこうざい(じゅうなな)】「天皇」の冤罪
帝国の功罪(18)【ていこくのこうざい(じゅうはち)】日本軍の黎明
帝国の功罪(19)【ていこくのこうざい(じゅうきゅう)】日本海軍と軍内部の抗争

●第三期
帝国の功罪(20)【ていこくのこうざい(にじゅう)】明治時代に勃興した財閥と軍事産業
帝国の功罪(21)【ていこくのこうざい(にじゅういち)】侵略という思想
帝国の功罪(22)【ていこくのこうざい(にじゅうに)】自由民権運動の変節

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