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東の地平・西の永遠【ひがしのちへい・にしのとわ】

東の地平・西の永遠表題を見て「あ!」と思った人はまず間違いなく萩尾望都ファン(^^;)萩尾望都のSF作品としては初期の部類に入る「11人いる!」の続編として書かれた前作とは大幅にスケールアップした大作でもある。

「11人いる!」は短編のせいもあり、宇宙大学の入試最終テストとしての宇宙空間での実技テストの一環を描き、各受験者の「人格」「適正」を測るなかで不測の事態下での人間模様とこのテストにかけられた謎解きが読者をグイグイ引っ張る「萩尾望都の作劇家としての才能を煥発させた語り口とその筆致」に初見で魅了された。
その続編である「東の地平・西の永遠」は宇宙国家間の権謀術数、国内の反乱分子、ニュートラルな立場としての宇宙大学、宇宙の国家間のバランス調整役の銀河連邦情報部が交錯し現在の世界情勢にも通じる「ポリティカル・サスペンス」あるいは「007シリーズのような活劇」の醍醐味まで味わせてくれる「続編が本編より面白さが増している」映画の続編などとは違うパターンで、これまた初見で魅了された(^^;)

ただ、短編から長編に作劇上のボリュームが上がったこともあってストーリーやその世界観の構築(深み)が分厚くなり、作品への感情移入度が高まる点は、レギュラー番組としてのドラマが劇場映画版としてスケールアップするパターンに近いかもしれない。

東の地平・西の永遠

世界を地域でざっくり分けた場合、ヨーロッパ、中央アジア(中東含む)、アフリカ、東アジア、オセアニア、北米、南米に分けることができる。
その東アジアで中核を占める国は言わずもがなの中国、ロシア、そして日本であろう。

その東アジアの一角、ロシアが主催する「海外資本誘致の国際会議」東方経済フォーラム(EEF)が毎年行われている。ここ数年は西のシリア情勢、クリミア問題でアメリカと対立している関係で、日本も目立った経済協力を行っていない(構想だけは数々上がっているが)軍事同盟国のアメリカの対ロシア経済制裁に対する配慮のために実効的な経済政策・共同事業が進捗しない。

「協力プラン」の具体化に関する日露ハイレベル作業部会第2回会合の開催:外務省

政府高官が構想部分や事業計画についての大枠を決めるための交渉がいまだに続いている。つまり実現に向けた踏み込んだ具体性を作れないでいるからであり双方の思惑の違いばかりが顕在化して「単純な商売(取引)」としてのレベルにまで降りてこないからだ。

もちろん日米安保条約の存在や北方領土未解決の問題が強く残り、単純な損得勘定だけで譲歩出来ない部分がネックになっている。先のプーチン大統領の「前提なしの平和条約締結」発言もロシア側のいらだちが見える形となって出てきている事でも推察できる。

無視される日本。東方経済フォーラムで中国とロシアの巨大経済圏構想が明らかに=浜田和幸:MONEY VOICE

●プーチン大統領は安倍首相を見限った?

ぶっちゃけ、何のために安倍首相はウラジオストックで開催された「東方経済フォーラム」に出かけたのか、大いに疑問である。今回で安倍首相はプーチン大統領と22回目の首脳会談を行ったことになる。しかし、未解決の「北方領土問題」は棚上げになったままだ。

プーチン大統領は「領土問題は短期間では解決できない。まずは平和条約を結ぼうではないか」と安倍首相の足元を見透かしたような対応でお茶を濁しただけ。

日本とロシアで合意していた「北方四島での共同経済開発計画」にも新たな進展はなかった。「ロードマップの作成に合意した」というが、そんな話は2年前から出ていた旧聞の類。要は、プーチン大統領は安倍首相を見限ったということであろう。

●目を見張る「中国とロシアの蜜月」

対照的だったのは、初参加の中国の習近平国家主席との蜜月ぶりだった。

(中略)

ロシアと中国の間では73もの合弁事業に関する協定が調印され、その額たるや1000億ドルを遥かに超える。日ロ間で延々と協議を続ける野菜工場や魚介類の養殖プロジェクトなどとはまるで規模が違う。

プーチン大統領の提唱する「ユーラシア経済同盟」と、習近平主席の推進する「一帯一路計画」が合体したのである。しかも、これまで両国が手を結んできた「上海協力機構」とASEAN(東南アジア諸国連合)をも一体化させる動きも進んでいる。

●あらゆる分野で中国とロシアが手を結んだ

日本では、この時期、ロシアがシベリアで実施している戦後最大規模の軍事演習「ブストーク2018」に中国が初参加したことに目を奪われているだけで、その背後に秘められた中・露の思惑に迫ろうとしていない。

どういうことかと言えば、ロシアと中国は政治、経済、軍事のあらゆる分野において一体化を目指すという方向に舵を切ったのである。

その背景にあるのは、トランプ大統領による、ロシア・中国への敵視政策に他ならない。

少々大げさに書いているようにも聞こえるがロシア側の思惑としてはそんなところだろう。火事場泥棒で北方領土を蹂躙し、中国や北朝鮮と連動して日本に絶えず軍事的圧力を加えてきた旧ソ連と現ロシア。

今や軍事的脅威こそ中国や北朝鮮が直接的に先鋭化したために日本の周囲の緊張はかつて無いほど高いのだ。そんな中で「個人的に話し合える相手」としての安倍総理にしてこの交渉はなかなかの難問。北朝鮮の拉致問題にも影響を与えかねない極めて繊細な国際関係なのだ。

この記事では(有料記事部分では)おそらくトランプ大統領をdisって日米関係強化による諸問題の解決を目指している安倍総理の外交的失敗を批判していくのであろうが、多くの国民が思うことは「今の安倍さんに出来ないことが他の政治家にできるとは思えない」ではなかろうか?

例によって総裁選や沖縄県知事線に向けての「反安倍戦略の一環」としての単なるいちゃもんでしかなさそうに思う。有料記事を読む気がしないので想像で書いているが当たらずとも遠からずだと思っている(^^;)

浜田和幸:wiki

この記事の浜田和幸とは鳥取県選出の参議院議員(当時自民党)で総務省や外務省で政務官を歴任した実務派。政治学が専門の政治家でもある。
が、自民党→民主党(総務省政務官:菅内閣・外務省政務官:野田内閣)→国民新党→次世代の党→おおさか維新の会→無所属と、地に足がついていないと言うか、党を移る際もトラブルを起こしている。
保守系ではあるのだが、政治信条や人望という点では疑問符がつく人物であることは最初に踏まえてもらいたい。ちなみに参議院議員に当選した際は同県選出の石破茂の支援を受けている。党外だが石破派の一員と見てもいいのではないか?また、党籍が浮気症なのは師匠に倣っての事なのかもしれない(^^;)



上念節が冴え渡り相変わらずの切れ味だが(^^;)石破茂の物足りなさ「提言だけで提案はない」事を「賢人の知恵」と称して中身の無さを徹底的に叩いている(爆)ああ、なるほど、だから石破の話はピンとこないのかと膝を打った(^^;)

浜田和幸の話に戻ると、確かに中露の接近はアメリカとの対立が背景にあることは間違いがないだろうし、そこでプーチンが繰り出した爆弾発言「一切の前提条件無しで、年内に平和条約を結ぼう」は、最近中国が日本にすり寄る気配を見せている「融和ムード醸成」の動きにシンクロする。

どちらも世界一の経済大国アメリカとの戦いに疲弊し、「ユーラシア大陸同盟」とでも言うような経済と軍事の両方でアメリカに対抗しようという意図ははっきりしているし、アメリカの子分で経済大国の日本(中露両国にとって太平洋に進出する上で邪魔な国)を少しでもアメリカから引き剥がして事を有利に運ぼうという下心がミエミエである(^^;)

ロシアは東にアメリカと日本、西にヨーロッパとクリミア。中国は東に日本(と太平洋を挟んでアメリカ)、西にウイグルやチベット。それぞれに領土問題や経済戦争を繰り広げる相手に挟まれている。

上記記事にもあるようにロシア最大の軍事演習に中国が参加し協調路線をとってアメリカを牽制しようとするのも当然かも知れない。米朝首脳会談が実行されたときも懸念されていた北朝鮮の合意内容の不履行がじわじわ露見し、金正恩のはぐらかし戦術の連続に下手をすると極東の北朝鮮でアメリカの「斬首作戦」が実行される可能性も再浮上してきた今、北朝鮮の背後で支援をしてきたこの両国が手を結ぶことでアメリカの先制攻撃を封じる意味もあり、これによって 北朝鮮もまた自信を得たかもしれない。

ロシアの軍事演習史上、最大規模の「ボストーク2018」始まる:sputniknews日本版

「ボストーク2018」は9月11日から17日にかけ、セルゲイ・ショイグ国防相の指揮のもと、極東および太平洋上のそれに隣接する地域で実施される。演習規模はこの37年間で最大で、軍人30万人をはじめ、1千機を超える航空機やヘリコプター、無人航空機、最大3万6千台の装甲車両、最多で80隻の艦艇および補助船舶が参加する。

同演習にはある段階で中国とモンゴルの部隊が合流する。




Vostok2018(1)
<画像元:Graphic News>

Vostok2018(2)
<画像元:CLUB OF MOZAMBIQUE>

上念司氏が紹介していた長谷川幸洋氏の評論はこちら↓

安倍総理も苦笑い…プーチン「平和条約提案」の怖すぎる真意(長谷川幸洋):現代ビジネス
安倍総理+プーチン大統領
北方領土問題の解決抜きで平和条約を結んでしまえば、ロシアの領土編入を既成事実として認める結果になりかねない。プーチン氏は「前提条件を付けずに平和条約締結を」と提案したが、日本にとっては「北方領土はもうあきらめろ」と言われたのも同然なのだ。

「北方領土がだれのものか決まっていないが、とりあえず棚上げして平和条約を結ぼう」と言っても、世界史をみれば、領土の争いが戦争になった例はいくらでもある。「戦争の火種を残す平和条約」というのは原理的矛盾だ。それでは平和条約にならない。

(中略)

大前提になるのは、まず日本とロシアの信頼関係である。それから良好な日米関係。これは現状、申し分ない。最後が米国とロシアの信頼関係だ。米ロ関係は史上最悪と言われているが、7月の米ロ首脳会談で改善に向かう兆しもある。

プーチン氏は安倍首相と会った後、中国の習近平国家主席と会談した。習氏は対ロ貿易や投資の拡大を約束するとともに、同時に実施されたロシアの軍事演習に大規模な中国軍部隊を派遣し、ロシアとの蜜月関係を誇示した。

一方で、プーチン氏は安倍首相と10月の再会談を約束した。自衛隊制服組トップの河野克俊統合参謀長の10月訪ロを受け入れ、軍事当局者同士の交流を促進する姿勢も見せた。中国との連携を進めながら、日本との友好関係も強化しようとしている。

このあたりがプーチン氏のしたたかさである。中国と日本を両天秤にかけて、互いにけん制する効果を狙っているのだ。結果的に、ロシアの存在感を高める思惑が見え隠れする。突然の平和条約発言も、中国をけん制する思惑の延長線上で思いついたのかもしれない。ロシアの日本接近を一番、嫌がるのは中国だ。

もう1つ、プーチン外交で見落とせないのは、いまだに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とは会談していない点だ。金氏は中国の習主席とは、もう3度も会った。ところが、プーチン氏との首脳会談は「いつか開かれるだろう」との観測が流れているが、まだ1度も実現していない。

それはなぜか。「自分を安売りして、中国の風下に立ちたくない」という理由は容易に推察できる。もっと積極的に、決定的な出番を狙っているのかもしれない。自分が主導権を握って、朝鮮半島情勢の行方を左右するような機会を待っているのだ。

トップ外交を北朝鮮〜ロシア間では行っていないと言うのは確かだし、北朝鮮が期待を持っているのは中露両国が祖父や父の時代のようにアメリカに対峙する時の後ろ盾になってくれればアメリカもたやすく攻撃はできまいとの読みがあるからだろう。

ボストーク2018とは「ボストーク(東方)での軍事演習2018」の意味である。ロシアがソ連時代の1960年に打ち上げた世界初の有人宇宙船「ボストーク1号」と同じ名を持つ。ボストーク計画の前身が「スプートニク(衛星:付随するものの意味)」だからなぜ「東方」と言う名になったのかが不明だ(^^;)アメリカの有人宇宙船計画「マーキュリー計画」「ジェミニ計画」「アポロ計画」は全てローマ神話の神々の名を冠しているのに比べれば統一性がない(^^;)

ちなみに極東ロシアの最大の都市「ウラジオストク」は「ヴラジ- (влади)」と「ヴォストーク (восток)」からなる名前で「ウラジ(支配する)」「ヴォストーク(東方)」つまり「極東支配政策の拠点」の意味を持つ。

東方経済フォーラムの開催地「ウラジオストク=東方支配」の地で
オレが支配している地域の土地を返せなど二度と言うな。北朝鮮も中国もオレの側についているんだぞ!
と言われたのであれば、「東の地平の平穏も西の永遠なる安寧も現時点では期待できない」としか思えないのが残念だ。

案外プーチンも習近平も国内の権力闘争に明け暮れるうちに、敵対の中で共同歩調を取れるのは、利害が一番対立しない相手しか居ないのかもしれない。もちろん外交上の連携でしか無いのでそこに「純粋な信頼」が存在するかは疑問である。

仕事上で敵対する相手に「取引のリアクションの信頼感」「好敵手としての尊敬の念」は持っても、我が身を捨てても守りたい友情や決して相手が自分を裏切らない信頼感は持てないのと同様だ。

やはり、憲法を出来るだけ早く改正し、繰り返しアップデートを重ねて、「国家主権の行使たる安全保障上の交戦権」「集団的自衛権の行使」「正規軍としての国防軍の法整備」を重ねて、アメリカや中国、ロシアと同様に国益のためなら戦争も辞さない断固たる覚悟を内外に見せつけることがいかに大切か、改めて思うのである。


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